「オール電化住宅ってアンペア契約がないって本当?」「どれくらいの容量を設定すればいいの?」── そんな疑問を持つ方が増えています。
オール電化住宅では、ガスを使わない代わりに、すべてのエネルギーを電気でまかなうため、電力契約と設備容量の設計がとても重要です。 この記事では、Repair-zが現場で見てきたオール電化住宅の最適アンペア設定と注意点を、初心者にもわかりやすく解説します⚡️
🏠 オール電化住宅は「アンペア契約」ではない?
まず最初に押さえておきたいのが、オール電化住宅は一般的な“アンペア契約”ではないということです。
電力会社のプランでは、オール電化住宅の多くが以下のような契約形態になります👇
- 📦 従量電灯C契約(kVA契約):容量を「アンペア(A)」ではなく「キロボルトアンペア(kVA)」で管理。
- 🔋 時間帯別料金プラン(例:夜間割引/スマートライフプラン)を採用。
- 💡 目安:6kVA〜10kVA(=60A〜100A相当)が一般的。
つまり、オール電化住宅の容量は「アンペアではなくkVA」で決まります。 1kVA ≒ 10A相当と考えると、6kVA=60A、8kVA=80Aのイメージです。
⚙️ オール電化住宅の電力負荷を分解してみよう
オール電化では、以下のように家全体が電気依存になります。
| 項目 | 使用機器の例 | 消費電力(目安) |
|---|---|---|
| 調理 | IHクッキングヒーター | 3,000W〜6,000W |
| 給湯 | エコキュート | 1,500W〜4,500W(夜間運転) |
| 冷暖房 | エアコン・床暖房 | 1,000W〜4,000W/台 |
| 洗濯乾燥 | 乾燥機能付き洗濯機 | 1,000W〜1,500W |
| その他 | 照明・家電・給気換気 | 500W〜2,000W |
すべてが電気で動くため、同時使用時のピーク電力を見誤るとブレーカーが落ちやすくなります。
そのため、Repair-zでは以下の式で「必要容量(kVA)」を簡易算出しています👇
必要kVA =(同時使用電力の合計W ÷ 1000) × 1.25
(※安全率1.25倍を考慮)
例:IH6000W+エアコン3000W+照明1000W=1万W → 10kW ÷ 1000 × 1.25 = 12.5kVA ≒ 125A相当
ただし実際はエコキュートが夜間運転のため、日中は8〜10kVAで足りることが多いです。
📊 契約容量(kVA)の目安と生活スタイル別比較
| 世帯構成 | おすすめ容量(kVA) | 相当アンペア | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2人暮らし | 6kVA | 60A | エコキュート+IH同時使用でギリギリ |
| 3〜4人家族 | 8kVA | 80A | 冬場・夏場のエアコン同時使用でも安定 |
| 5人以上 | 10kVA | 100A | 電気自動車・床暖房導入世帯に最適 |
💡オール電化住宅では、一戸建ての上限(100A前後)まで上げても問題ありません。 重要なのは、分電盤と幹線の適合です。
🧰 設備側での注意点:分電盤・幹線・ブレーカー
① 分電盤(メインブレーカー)
- 主幹ブレーカーが60A未満だと容量不足
- オール電化なら75A〜100A対応盤を推奨
- 漏電ブレーカーは高遮断容量タイプ(10kA以上)を選定
② 幹線(メーター〜分電盤)
- 最低でも8mm²(銅線)以上が理想
- 太陽光やEV充電対応なら14mm²〜22mm²も視野に
③ 接地・絶縁
- 接地抵抗:10Ω以下が望ましい
- 絶縁抵抗:0.1MΩ以上(JIS基準)
Repair-zでは、アンペア(kVA)変更の際にこれらの項目を必ずチェック。 安全基準を満たさない場合は、配線更新・盤交換をセット提案します。
🌙 電気代を抑える「時間帯別プラン」の活用術
オール電化住宅では、ほとんどの方が夜間電力の割引プランを活用しています。 これは、夜の安い時間帯にエコキュートや蓄熱暖房を動かすことで、 電気代を30〜40%削減できる仕組みです。
⏰ 一般的な時間区分(例)
- 昼間(7:00〜23:00):高い(約35円/kWh)
- 夜間(23:00〜7:00):安い(約17円/kWh)
この差を活かすためには、次のような工夫が有効です👇
- 🛁 エコキュートは夜間運転設定にする
- 🍚 炊飯器・洗濯乾燥機のタイマー予約を活用
- 🔋 EV充電は深夜帯に集中(時間指定)
- 💡 照明はLED化+人感センサーで省エネ
💬 Repair-zでは、設備側の容量設定だけでなく、電気代を抑える使い方の設計までアドバイスしています。
🚗 EV(電気自動車)+オール電化の容量設計
近年は「オール電化+EV充電」のご家庭が急増中。 この場合、電力負荷はさらに大きくなります。
- 🚘 普通充電(200V・16A):約3.2kVA
- ⚡ 中速充電(30A):約6kVA
つまり、EVを同時に充電すると6〜8kVA(=60〜80A)分の余力が必要。 8kVA契約の家なら、エコキュートやIHと重なると一瞬でオーバーします。
そのため、EV充電を想定するなら10kVA(100A)以上を前提に設計し、 同時使用を避ける「タイマー制御」や「V2H制御(双方向給電)」を組み合わせるのがベストです。
🧮 契約容量の見直しタイミング
以下のようなタイミングで、契約容量の見直しを行うのが理想です。
- 🏡 新築・リフォーム時(分電盤設計から最適化可能)
- 🧺 家電の入れ替え時(IH・エコキュート・乾燥機)
- 🚘 EV導入時(充電回路増設が必要)
- 📈 家族構成の変化(子どもの独立・親の同居など)
Repair-zでは、これらのタイミングに合わせて電力負荷シミュレーション+安全余力診断を実施。 「上げる?下げる?そのまま?」を明確に判断します。
🙋 よくある質問(Q&A)
Q1. オール電化でもブレーカーが落ちることはある?
あります。特に冬の暖房・乾燥・調理が重なると負荷が集中し、遮断することがあります。 容量見直しまたは回路分割が有効です。
Q2. kVA契約をアンペアに戻せる?
多くの電力会社では可能ですが、メリットは少ないです。 オール電化向けの夜間割引が使えなくなるため、基本的にはkVA契約を維持した方が得です。
Q3. どれくらいの容量を選べば安心?
一般的には8kVA(80A相当)あれば、IH+エコキュート+冷暖房が同時でも安定。 EVや蓄電池があれば10kVA以上がおすすめです。
Q4. 電気代が高いときの見直しポイントは?
契約容量よりも、夜間電力の使い方や設定ミスを見直すのが効果的です。 エコキュートの運転時間やタイマー設定を見直すだけで月数千円下がることもあります。
🏁 まとめ:オール電化は「容量設計+時間設計」が命
オール電化住宅では、容量設定を誤るとすぐに電気が足りなくなったり、逆に使わない容量で損をしたりします。 大切なのは、契約kVAと生活リズムのバランスです。
Repair-zでは、オール電化+EV+太陽光を含めたトータル電力設計をサポート。 安全・節約・快適を両立するアンペア(kVA)設定をご提案します。
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